碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

2016-05-12から1日間の記事一覧

彩夏夜160513

その日は財布に入っているお金が少なかった。 待ち合わせた駅のそばに口座を持っている銀行のATMコーナーがあった。 ATMが4台並んでいて、小学校の教室くらいの広さだ。 「すみません。ちょっと足らなくて」 櫂子はATMコーナーを指差して武端を見た。 小首…

彩夏夜160512-03

武端は主張がはみ出るということがない。 けれど縮こまっているわけではなく、山場の持論と、好き勝手な櫂子との中で意志を最大限に表す。 反発とまでいうものを感じさせないところが櫂子の胸を苦しくさせる。 破らないように中から蹴っているのは、おなかの…

彩夏夜160512-02

入れたコメントと同じ言葉を使われたのにも驚き、お礼の手紙を送ったのだった。 手紙がおそらく届いた後くらいから、武端のSNSには予定が載ることが増えた気がした。 櫂子が入れたコメントと同じ言葉や似た表現が武端のSNSの中に増えていく。 その後に海外で…

彩夏夜160512

5歳下の武端を知ったのはSNSでだ。 風景写真家である武端の写真展の開催に伴って武端の出るトークイベントが行われ、聴きに行った際に、櫂子は武端の写真集を注文した。 武端と同行していた、写真集を出版した出版社の編集長に注文したのだが、写真集は武端…