碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-10-31から1日間の記事一覧

出ないための鍵 10

ドライヤーは、彼女が取りに行きづらいところにあるのだろうか。 彼女の次の言葉が出ないので、僕は一番気に掛かっていたことを口にした。 「お手伝いさんとは、うまくいっているんですか」 彼女は両手をひざにそろえたまま、首をかしげた。 「うまくいって…

出ないための鍵 9

お盆に氷を入れたアイスコーヒーのグラスをのせて彼女が戻ってくると、チワワも一緒に戻ってくる。 彼女は僕の前のテーブルにグラスを置いた。 ガツン、と音がした。 来客の相手をするのはいかにも不慣れな感じだった。 「ごめんなさい」 「いや、大丈夫」 …