碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-11-01から1日間の記事一覧

出ないための鍵 12

「ドライヤー持って来ます」 僕の顔を見上げた彼女の目は涙がたまり、赤くなっていた。 「いいですよ、大丈夫です」 僕の返事を待たずに彼女は廊下へ飛び出して行った。 チワワは、彼女の動きを首を動かして追ったが、タオルの山から離れなかった。 なんだか…

出ないための鍵 11

少し寒気がしてきた。 彼女はハッとした顔になった。 「タオル、持ってきますね」 彼女はひざの上のチワワをソファの上に移して立ち上がり、廊下に小走りで出て行った。 真っ白でふかふかのバスタオル2枚と、フェイスタオルをたくさん両手で抱えきれないほど…