碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-11-08から1日間の記事一覧

出ないための鍵 18

鍵のありかは気になるが、黙っているのも息が詰まる。 「キーホルダーは、この間気づいていたんですけど、言いそびれてしまいました」 僕は頭を掻く。 「やっぱり、あなたのだったんですね」 驚けばいいのか、どうすればいいのか。 僕は彼女の顔を見る。 「…

出ないための鍵 17

目が覚めると、掃き出し窓から見える庭は、住宅街を照らす街灯の光を常緑樹の葉が反射しているほかは暗かった。 彼女は僕が眠ってしまったときと全く同じ位置でカーペットの上に正座をしていた。 「うわ、こんな時間まで。すみません」 夜の8時くらいだろう…