碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-11-09から1日間の記事一覧

出ないための鍵 20 -最終話-

僕は、キーケースから僕のアパートの部屋の鍵をはずして、彼女に返してもらったキーホルダーにつけた。 キーケースに彼女の家の鍵をつけた。 「鍵、返しますね」 僕はまだ新しくて革のぴかぴかしているキーケースごと彼女に鍵を渡した。 彼女は泣きそうな顔…

出ないための鍵 19

公園の中ほどにあるベンチは照明に照らされていたが、上を蚊柱が渦を巻いていた。 それでなくとも、夜の公園の真ん中に彼女を連れて行く気は起きなかった。 入口そばのいちばん大きな明るい街灯の下に入り、ハンカチを地面に広げ、物をひとつひとつ出してい…