碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

果たし状7

夜唯子はボウルのゼリーから手を引き抜き、そのままの手でボウルのふちをつかみ、ベランダのほうへ歩いていった。カーテンをがらっと開ける。愛会梨は追いついてベランダへ出る掃き出し窓のかぎをはずし、窓を開けた。

ベランダには雪が積もっていた。夜唯子はゆっくりとかがみ込み、ボウルの中のゼリーをそうっと雪の上にあけた。白い雪の上で街灯の明かりを受けていちごゼリーがところどころうっすらと赤く光る。

「ふうん」

夜唯子は部屋に戻り、ドライバーなどの工具がごちゃごちゃ入っている引き出しから小さな懐中電灯を持ってきた。小さいがLEDでとても明るい。

夜唯子は積もった雪をくぐらせて、いちごゼリーの山の下へ懐中電灯のライト部分を置いた。