碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

果たし状8

「ほおー」

「わあ」

LEDのライトの光でいちごゼリーはピンク色に輝いた。

「きれいだね」

「うん、きれい」

二人でしゃがみ込んで輝くゼリーを見つめた。

四年で大学を出た夜唯子はもう働いている。先日社長賞をもらった企画の製品が売り出されたと、実にそっけないはがきが来た。夜唯子が製品化した物は、チューブの中に液体と虹色に光る小さなプラスチック製のフィルムが入っているイルミネーションだ。クリスマスツリーなど飾り付けたいものに巻きつけて使うらしい。チューブの端にある光源が、赤いチューブの中のとろりとした液体の中でゆっくりと向きを変える虹色のフィルムの紙ふぶきを照らす。虹色のフィルムは向きを変えるたびにちがう色でオパールのように光る。北国のきびしい寒さの日に見られるダイヤモンドダストを押し込めたようだ。