碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160599

『「そう。あのひとの子どもを産んで待っているわ」

希見子は洋佑の目を真正面から見て言う。

離婚を急ぐように言っても仕方ないのだ。

洋佑が家を出ることを決めているのもあるが、洋佑の妻には嫉妬も憤りもない。

娘を嫁に出すように優しく送り出してほしい。

世間体とか、後でどこかで世話になるかわからないというのもあるが、何よりも当人たちに残るストレスが少ない。

ただ、希見子も待っていられないのだ。

2、3年待つつもりでいて、10年経つことは本当にある。

和章は悪い男ではない。

季見子をとても大事に思ってくれている。

また2、3年後に考えればいいではないか。

洋佑を待つために経済的に苦労すると自分の良さがなくなる気がするのだ。

今までの時代にもあったような、当たり前の選択肢と予想できる困難は、だれにも伝えることがない。

洋佑が好きになってくれた私でなくなる。

和章とは、疲れるし茨の道だろう。

ときどき休める木陰になってほしいとは思っている。』