碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160520

「僕は、子どもが2人いるんです。先日の文には驚きました」

正面から感想を言われたのは初めてだった。

「友達のことなんです。私は子どもはいません」

武端は、小さくあごを引く。

「上の娘は中学2年なんですよ。櫂子さんの家では犬を飼っているんですよね」

武端は二人の間に置かれている机の上に広げられ見に来た客に触られ散らかり始めた、武端が撮影した写真を使ったポストカードを整え直しながら口を止めない。

「多感な時期ですね。毛が長くて元気で手間がかかります」

櫂子はピラミッドと朝日のポストカードに手を添える。

武端の娘の写真は見たことがある。

「手入れにはお金も時間もかかるでしょう。病院での待ち時間も長くなるかもしれませんね」

櫂子は小さくため息をつく。

わかっていたことだ。

予想していたことだ。

直接聞けると、失望よりも喜びのほうが大きい。