碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160520-02

櫂子は勤めていない。

人にこわれれば教えていた人形づくりも、スケジュールを合わせるのが重荷になり依頼があっても断って、やめて2年経つ。

お金がない以上最終判断はできない。

苦労して育てたくないのだ。

苦労はほかのところに回したい。

勤めていたころは自分一人で使い切れないくらいだったが、お金を得るために使っていた脳は櫂子にはおもしろくないものだった。

今このときだから生み出せているものがある。

虫がいいとは思うのだが、時間がないのもある。

勤めて貯めて、それから事を起こしてももう遅いのだ。

書くことがなくなる。

櫂子の両親はどちらもきょうだいが多い。

だいたい、多産の女性にまともに仕事をしろというのがおかしいのだ。

出産適齢期までにお金の入るしくみをつくれれば、最終判断を自分でできてその後も心配はないが、そんなことができるのはほんのひと握り、いや、ひとつまみの塩ほどだろう。

今までと同じことをしても報われないのだ。

引き継がれない。