碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160527-03

道路の中央あたりに来ても男性の目線が気になる。

道路を渡り、そば屋の建物のビル寄りの端へ来たが、ビル側へ歩き出した。

ビルを過ぎるとパスタ店がある。

男性の体は櫂子のほうを向いていた。

もう一度目が合う。

スーツの柄の白い縦線がわかるほどになると、男性は目を伏せてタバコの煙を吸い込んだ。

タバコの先が赤く灯る。

歩くスピードを緩めると、櫂子には煙がかからない向きに口を開ける。

開けた口の間で灰白色の煙がゆっくりと渦を巻く。

櫂子は目を伏せる。

男性は肺の中の圧力に耐え切れなくなったかのように息を出す。

煙が散らばる。

櫂子は顔を上げ、歩道のガードパイプ側に寄って足を止めた。

「あのう、お天気いいですね」

とても間抜けだと思ったがほかに思いつかなかった。

それに空は薄曇りだ。日差しに弱い櫂子には快適だが、ほかの人には良い天気とは言えないだろう。

男性はタバコを持った手を下ろした。

まつ毛が意外に長い。

「薄く雲が掛かって過ごしやすいですね」

体を少し横に向け、目を落としている。