碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160528

ふと、バス停で同じバスを待つ仲のようだな、と思う。

櫂子は深めに息を吸う。

「いつも、ここでタバコを吸ってらっしゃいますね」

時間は言えなかった。

「ええ、この時間はゆっくりできるんですよ。ビルから人が出てくる様子も面白いんです」

櫂子の足は動かなくなってしまった。

「あの」

「はい」

男性はタバコを持ったほうの腕の肘から先を少しだけ上げた。

「お昼はまだですか。少し歩くと、おいしいどんぶり屋さんがあります」

「知ってます」

男性はにこっと笑い、タバコの先を灰皿に押しつけて火を消した。

山場とはこうして出会った。

どんぶり屋に向かうまでに互いに簡単な自己紹介をした。

どんぶり屋で櫂子はかつ丼を頼んだ。

山場は天丼だった。

頼んだものの、このときはかつを二切れとごはんを少ししか食べられなかった。