碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160530-03

武端はオレンジジュースと水を買って戻ってきた。

黙ったまま櫂子に2本差し出したが、櫂子は両方の手を下ろして手のひらを武端に向け、先に選んでくださいという意味のジェスチャーをする。

武端は少し迷って、オレンジジュースを自分に引き寄せ、櫂子には水のペットボトルを渡す。

オレンジジュースのボトルの緑のふたをねじり、開けてごくごくと三、四口飲むと、ボトルから口を離し目を下に落とす。

武端の肺の中の空気の圧力が外と同じになったのがわかる。

武端は櫂子の隣に腰かける。

「僕も言いたいことはいっぱいあるんですよ」

武端はペットボトルの底を支えるようにつかみ直し、アルファベットで書かれた飾り文字の商品名を見る。

「でも、何を言っても櫂子さんは変わらないんでしょうね」

わからない。

ひとりで決めることではない。

強い球を受ければ息ができなくなることがある。

「受け止めてほしいだけなのかもしれません」

武端の目がこちらを向く。

櫂子は目の端で目を合わせる。

前を見ると、武端がドリンクを買ってきた自動販売機が街灯の黄色がかった白い光で照らされていた。