碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160531-02

美知は一途しか知らない。

少し前まで自分も知らなかったのに偉そうな考えを持ったと思う。

一人のパートナーで消化し発展できないものを、別のパートナーと生産することは、自分のためにだけなることではない。

櫂子の場合はたまたま異性だっただけだ。

例え男好きと言われようと、男性の友人のほうが多いのだから確率的には自然だ。

武端の写真展の会場の前で美知と待ち合わせた。

お茶でもしてから向かうのが世間的には親切だとは思ったのだが、二人で話すことはもうなかった。

武端には美知と一緒に行くと事前に伝えた。

それしか知らせなかった。

美知の名前はどこかで目にしていると思う。

返事には、「お気をつけて。楽しんでいただけると嬉しいです」とだけ書かれていた。

昼食の時間帯に行ったせいか、会場は混雑はしていなかったので、武端にはすぐ声を掛けることができた。

「こちら、西邑美知さんです。前に勤めていた会社で一緒でした」

美知が肩にかけるベルトの短いショルダーバッグを開ける。

バッグの中身をかき分け、名刺入れに指先がたどり着くまで時間が掛かる。