碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160531-03

向かい合う二人とコの字をつくるように間に黙って立つ。

武端は観覧者が氏名を記入する帳簿が開いて置かれてあるテーブルの上に重ねてあった自分の名刺を1枚取り上げ、美知と名刺を交換する。

笑えない。

武端は自分の置かれた立場をはかりかねているようだ。

まだ早かっただろうか。

けれど、笑えるようになってからでは重さが伝わらないと思った。

そのときでは武端は美知を選ばないだろう。

「山場さんは、名刺は」

武端はもう1枚自分の名刺を取り上げ、私に示した。

前にもらったのと内容は同じだが、デザインが新しく変わっている。

「前にいただいています」

上手に笑えたと思った。