碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160607-02

簡単なルールの説明から始まって、技の解説を無駄なく的確にする。

ほかの格闘技から転向してきた人の話になると千奈美も知っている名前が出てくる。

30分くらい経っても、話を聞き終えた気がしない。

まだ日は高いが、いつも食べているような刺身や天ぷらの出る和食の店に移る。

芹沢のK-1の話をビールを口につけながら聞く。

芹沢はウーロン茶を前に置いている。

千奈美はこれといった深い趣味がない。

小学校の頃、教室の後ろで同級生の男の子たちがプロレス技をかけ合っていたと相づちのように挟むと、それから昔のことの話になる。

店には一時間半も居ただろうか。

二時間も居れば疲れてくる。

天ぷらの盛られていた濃い灰色の土感の残る角皿に目を落としていた芹沢の顔がためらいがちに上がり千奈美を見る。

「今日車なの」

「うん、ここまでは遠いから。送るよ」

これが合図になり席を立つ。

芹沢のハッチバックの車は少し埃っぽかった。

意外に汗臭く、妙な芳香剤のにおいもしなかった。

桃色に染まり始めた空に車道沿いの街灯が点灯して白く輝く。

まだ早い。

「8時まで大丈夫」

芹沢のハンドルを握る左手と腕に力が入る。

とても安心だった。

やはり、何人とも会うのはストレスだった。

この時は千奈美も動いた。

由芽奈はあの時の子だと思う。

後から排卵することもある。

日にちの違いを刻生は気にしなかった。

仲間に言ったのは翌月の集まる予定だった頃だ。