碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

彩夏夜160696

「帰るところがあると思うと安心でした」

と武端は言う。

武端が帰国していたときに、母に頼んで養子縁組をしてもらった。

周りに説明しやすくする、ただそれだけのために。

明快な回答があると、人はそれ以上質問しない。

武端は庭につくられた離れに暮らしている。

普段の生活はひとりで事足りる。

不都合があって呼ばれれば行くし、ひとりでは大変そうな買い物があれば一緒に出かける。

山場が庭を武端の車椅子を押して歩いているのは、初めのうちは胸がきりきりとしたが、山場の顔は本当に弟が増えたように柔和だ。

海外の仕事がメインで帰国しても家にほとんど寄りつかなかった和志は、帰国のたびに家に戻るようになった。

大学のOB会で和志と出会った湊也くんは、来週和志の帰国に合わせて我が家へ来る。

-完-

 

 

※この作品は小説投稿サイト「小説家になろう」http://syosetu.com/にも構成を変えて掲載しております。表現も一部修正しています(掲載日2016年10月6日)。