碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

ロンサムカフェ -4-

謙人はすっかり見知ったれいみの体を開く。

最初のときはうまくいかせることばかり考えていたが、謙人が入ってくるときに帆波にも入ったものだと思うと体が紅潮し、奥から湧き上がる。

謙人の顔に、トレードマークのブルーのキャスケットをかぶった帆波が重なる。

謙人は笑っていないのに、帆波は笑っている。

一つ一つのステップを経ることが嬉しい。

これからのことは考えられない。

 

どうして謙人を選んだのか。

どうして謙人は了解してくれたのか。

わからないまま、考えないままの混濁の渦が麻薬となってれいみを溺れさす。

 

二人必要だったんだ、どうしても。

帆波なしでは開かないのだ。

れいみ一人のつてで謙人と会ったとしても、選択に確証を持てなかっただろう。

息が止まり、頭の中が白茶けて居どころとの縁が切れそうになったとき、体の中に水の膜ができる。

頭の中の扉が開く。

白い影がどっと押し寄せる。