碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

ロンサムカフェ -25-

「一緒に暮らす父親がいらないのに子どもをつくるのおかしいよね」

本心だった。

ただ、おかしいというのは世間的に見てのことで、れいみには当然の選択だった。

選択というよりは、レールがこちらにしかなかった。

「ううん、ぜんぜんおかしくないと思う」

帆波は丸い目とまつ毛をしばたかせる。

のどがつばをため込んでいたように動く。

「お礼言いたいけど、まだ言えないわ」

そんなことは気にしていない。

帆波と謙人が、れいみの心の中でつないだ手を離していた。