碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

これから c

「浮気ってなんだろうね」

とトシ子は言う。

「2人とも本気で好きでも、浮気と言うのかな。うわきの響きって、遊びみたいだよね」

頼子はアイスティーをストローで吸い上げながら、軽くうなずく。

否定する気はない。

「1対1のつき合いでまるくおさまらない人を、1対1の枠に押し込むのは、ホモセクシュアルの人に女性とつき合えと言うのと同じじゃない?」

うう。

頼子はのどの奥でかすかに唸る。

頼子は2年間一緒に暮らした紋二に同性の恋人ができたと言われ離婚したばかりだ。

「譬えがきつかったね、ごめん」

トシ子のアイスコーヒーはまだほとんど減っていない。

トシ子の、ときに辛辣すぎる譬えには慣れている。

こちらにも本気で考えてほしいと言う表れなのだ。