碧井 ゆき の物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。twitter.com/snowycrow2blue https://note.mu/snowycrow2blue

出ないための鍵 11

少し寒気がしてきた。

 

彼女はハッとした顔になった。

 

「タオル、持ってきますね」

 

彼女はひざの上のチワワをソファの上に移して立ち上がり、廊下に小走りで出て行った。

真っ白でふかふかのバスタオル2枚と、フェイスタオルをたくさん両手で抱えきれないほど持って来た。

 

「そんなに。大丈夫ですよ」

 

彼女は手が動かせる状態ではなかったから、山積みになっているてっぺんのタオルを1枚取った。

 

それで、濡れているパンツの裾を絞るように水気を取った。

 

タオルの山をカーペットの上に置いた彼女は、ソファに座っている僕の前にしゃがみ込んで正座をし、僕が水気を絞っているほうと逆の裾を、別のタオルで水気を取ろうとする。

 

チワワがタオルの山をくんくんとにおいを嗅ぐ。

 

「いいですよ。大丈夫です」

 

彼女は口をぎゅっと結び、裾をタオルではさんで絞る。

 

髪で横顔がほとんど見えないが、なんだか一生懸命だ。

 

ノースリーブのドレスの袖口からのびる腕の温度が上がった気がした。