碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

果たし状6

力が入らなくて両肘まで床につく。 「うっひゃっひゃ」 愛会梨は体を起こし、両手を背中の後ろの床につき膝を曲げる。二人で笑い続けた。 レンコンの穴にいちごゼリーを流し込んで冷やし固めたこともある。抜けやすくするためにしばらく室温に置いた。出てきたいちごゼリーをシンクに置いた白いボウルに受ける。 ボウルの中でいちごゼリーはうねうねと波打ち交差しとぐろを巻く。夜唯子と二人で押し黙り、ボウルの中のゼリーを見つめる。何だか淫靡な気持ちになる。 隣に立っている夜唯子の体温が急に上がった気がしたと思った途端、夜唯子はいちごゼリーの中に右手を突っ込んだ。 「ぎゃあ」 思わず声が出て口を覆う。夜唯子は愛会梨の悲鳴じみた声にお構いなく手を右に左にまわす。 「ひやっ」 口を覆ったまま夜唯子の肩をつかむ。やめてほしいというわけではないが続けて見るのは怖い。何かをつかんでいなければ気が済まなかった。 「気持ちいいよ。愛会梨もやる?」 「い、いい」