碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

ロンサムカフェ -5-

ロンサムカフェは、白を基調にした店内の壁のほとんどが、見かけだけのもあるだろうが収納の扉で占められていた。

扉は金色の装飾枠でふちどられ、それぞれ金色のU字形の把手がついていた。

天井から吊り下げられた照明のかさも白で、金色のふちがついている。

新しいがどことなくレトロな空気のただよう店だ。

帆波は先に来ていて、こげ茶色の木質にしみこむステインタイプの塗料が施された虫喰い加工の四人掛けのテーブルについていて、れいみに手を振った。

店のほぼ中央だ。

 

「ごめんね。遅れちゃった」

「たったの5分だよ」

帆波はほがらかに笑う。

帆波のほうが待ち合わせに遅刻することは多い。

でも今日は、しばらくカフェに居たようになじんでいて、カフェと帆波で店の空気ができている気がした。

れいみの都合で午後2時からという遅いランチタイムになったが、12時からの客が引いて店内がいくらか空き、ウェーターやウェイトレスの動きに余裕が感じられ落ち着く。