碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-07-21から1日間の記事一覧

ロンサムカフェ -9-

「そんなことあったっけ」 「あったよ。覚えてないの? 主役が鍛冶原啓五で、ヒロインが蕗下冴子」 いくら考えても思い出せない。 当時つき合っていた彼と行った所や映画は思い出せるのだが、帆波と出かけた記憶は、大学近くのケーキ屋さんや、自転車を連ね…

ロンサムカフェ -8-

帆波と謙人はたぶんしょちゅう会っていると思う。 週二回くらいは会っているのではないだろうか。 謙人を誘うときはだめでもともとと思っている。 謙人からの誘いは、むろんない。 子どもができたらお別れなのだろうな、やっぱり。 できなかったら、帆波とず…

ロンサムカフェ -7-

帆波はマンゴーアイスティーを太いストローで勢いよくちゅーっと吸い上げる。 「れいみが来る前にも、飲んだんだけどね」 無邪気に見える笑顔だ。 「暑いものね。梅雨時期なのに」 言っておいて、れいみはグラスの半分も飲めない。 まとまった水分は朝起きて…