碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-07-30から1日間の記事一覧

ロンサムカフェ -26 最終話-

「今日は、もう、行くね」 帆波は二人分の飲み物とデザートが載っている伝票をつかんで立ち上がった。 待って、という仕草はしたが、それ以上動けなかった。 ものすごく頼りなげな、でも1本の触角が増えたような背中をして帆波はロンサムカフェの出口へ向か…

ロンサムカフェ -25-

「一緒に暮らす父親がいらないのに子どもをつくるのおかしいよね」 本心だった。 ただ、おかしいというのは世間的に見てのことで、れいみには当然の選択だった。 選択というよりは、レールがこちらにしかなかった。 「ううん、ぜんぜんおかしくないと思う」 …