ロンサムカフェ -26 最終話-
「今日は、もう、行くね」
帆波は二人分の飲み物とデザートが載っている伝票をつかんで立ち上がった。
待って、という仕草はしたが、それ以上動けなかった。
ものすごく頼りなげな、でも1本の触角が増えたような背中をして帆波はロンサムカフェの出口へ向かって歩いていく。
謙人はフリーになるだろう。
素直に喜びを伝えたくなる時期は来るかもしれない。
それでも謙人と長く隣にいることは想像できなかった。
-完-
※この作品は小説投稿サイト「小説家になろう」http://syosetu.com/にも掲載しております(掲載日2016年10月5日)。