碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

2016-07-22から1日間の記事一覧

ロンサムカフェ -14-

帆波はメニューブックの巻末を開く。 サンデーやパフェ、カットフルーツの盛り合わせ、アイスクリームなどが並んでいる。 フルーツの盛り合わせは食べられそうな気がする。 「ううん。アイスティーをおかわりするわ。ゆっくり食べてね」 れいみはウェイトレ…

ロンサムカフェ -13-

クレープサンドを皿に戻し、ベリーアイスティーの入ったグラスの底にストローの先を突き刺し、底にたまっているベリーミックスジュースを飲む。 ふた口めを食べている帆波が口をもごもごさせながら怪訝な表情をしている。 口の中がいっぱいでものが言えない…

ロンサムカフェ -12-

ベリーアイスティーを飲む。 帆波もアイスティーを飲む。 口の中がさっぱりする。 帆波の歯形がついたクレープサンドから、オレンジ色がかったさいの目に切られたサーモンが見える。 れいみのクレープサンドは生ハムにも歯形がついている。 さっきの、謙人の…

ロンサムカフェ -11-

れいみはおいしそうに食べる帆波に釣られるようにクレープサンドをほお張る。 フリルレタスの尖った葉の刺激と、生ハムのしっとりした食感としょっぱさ。 とつぜん謙人の裸体が思い浮かぶ。 この場で思い出してしまう自分がおぞましい。 あわててうちけして…

ロンサムカフェ -10-

二年ほど前からだったと思う。 「ごめんね、思い出せない」 「いいよいいよ。お互いいろいろ忙しかったよ」 クレープサンドが運ばれてくる。 クレープは厚みがあった。 きれいに丸められたクレープと生ハムの中から、黄緑色の葉先がとげとげした見かけのフリ…