碧井 ゆきの物語

こんにちは。碧井ゆきと申します。ここにはわたしが書いた小説をのせています。

ロンサムカフェ -19-

一緒に育ててくれる父親は居たほうが子の情操教育にはよりよいのだろうが、謙人がいない帆波を見たくなかった。

れいみにとって、謙人と離れた帆波は帆波ではなかった。

帆波が帆波でなくなるくらいなら、一人で子どもを産んで育てる。

れいみには、するすると、この解が引き出された。

謙人のメールアドレスは、帆波の旅先で事件があり心配して尋ねた際に返事が来ていて知っていた。

謙人はれいみの頼みごとを眉を寄せて聞いていたが、拒否するようなことはひと言も言わなかった。

 

一度だけ、れいみからメールしていないのに、謙人から連絡が来たことがある。

会って10日ほど経ったときのことだ。

〝体調大丈夫?〟とだけ書かれていた。

れいみは、〝思い出してくれてありがとう〟と返事をした。

残念ながら、その次の月も謙人と会うことになった。